2016/09/08

【タイ経済】アジア自動車の生産ハブ拠点 タイ

日産自動車の電撃発表に驚いたが、さもありなん。アジアビジネスの観点から、特にタイをアジアの自動車生産ハブとして、確固たる地位を得ている三菱自動車は、アジアビジネス展開上、タイで出遅れた日産に取って最も魅力的なパートナーだ。



 三菱自は、タイの最大の貿易港ラムチャバンの至近の一大工場で、サミットグループ等のタイの財閥系部品会社とともに三菱自本体の業績を支えてきた。三菱自のレポートで必ずタイが出てくるのは、その背景がある。
ホンダもアユタヤ洪水の後でバンコクの東プラチンブリ県に一大工場を作り、アジアのハブ拠点として大衆車Civicの輸出基地となりつつある。今年にもタイホンダの売上の輸出比率が50%を超える。
インドで40%のシェアを持つスズキも、ラムチャバンに近いエリアに一大工場を稼働させてインド-タイの連携を強化させている。アセアン経済共同体(AEC)で加速していくタイを中心とした新興アジア自動車産業クラスター戦略は、日産ルノーグループに取って最重要課題であることは間違いない。ミャンマーのダウェイプロジェクトは、日産の重要拠点インドチェンナイの工場とタイの自動車生産ハブをつなぐ、日産-三菱自グループの強い味方となるだろう。

- 日産グループのタイでの展開強化
- インドチェンナイとの連携
- スズキに対抗する軽自動車のアジア展開
の3点でこの連携の持つ意味は非常に大きい。

日産自は、5月タイにR&Dセンターを設立しアジアの技術とサービスの主要ハブとする発表をした。アジアの自動車産業の中でのタイの重要ポイントは、88%とも言われる日系自動車比率と60%を超える輸出比率(対生産台数)だ。今後販売台数でアジアを牽引するインドとインドネシアを含めた3国間の連携戦略が非常に重要になる。

その3国の重要性を裏付けるのは、
 まず、日系生産比率
 インドは、スズキを中心に40%強、
 タイは88%, インドネシアは90%を超える。
次に年間輸出台数(2014-15年のデータ)
 タイ 約120万台 (総生産台数 約190万台)
 インド 約70万台 (総生産台数 約340万台)
 インドネシア 約20万台 (総生産台数 約100万台)
 世界で最も販売伸び率の高い南アジア、東南アジアで、生産・物流ハブからの部品も含めた輸出戦略は、各社の最重点項目だ。特にASEANの経済統合とASEAN-インド間とのFTAは、それを後押しする。 それぞれの国のことだけを考えていては、物流変革の時代に乗り遅れる。日系部品インフラの最も進んでいて自動車関連輸出の最も先行したタイをハブとして、インド・インドネシアの生産、物流、技術、サービスをどう変革していくかが日系自動車会社の変革のポイントとなる。

 日産自-三菱自グループは、タイで高シェアを持つトヨタ自、いすゞ、インドで圧倒的なシェアをもつスズキに打ち勝つ戦略を必要としている。

 現在の生産体制は、チェンナイを中心に約40万台(日産インド)で、サムットプラカンの2工場で約37万台(日産タイ)、三菱自の最大の海外拠点ラムチャバンで約42万台(三菱自タイ)、これに、両国の部品サプライヤーインフラ、拡張中のインドネシアの生産拠点、新しく設立されたR&Dセンター等が、ゴーン改革でどう機能的に動きだすか。非常に複雑で難しい課題だが、チャンスでもある。ゴーン氏お得意のグローバルなコスト削減、物流改革に期待する。

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