2016/02/20

【川崎市】「世界をリードする川崎のポテンシャル! 川崎国際環境技術展2016

  2月18日−19日の両日、とどろきアリーナで、川崎国際環境技術展2016が開催されたので、参加させてもらった。 比較的小さな展示会場だが、川崎市でビジネスを展開している大手企業、中小ベンチャー企業を中心に、各種団体が集い、産学官連携、国際連携のもと、優れた環境技術を世界に発信する内容の濃い展示会だった。 その講演・展示の中から、注目の項目をまとめて見る。

 <エネルギー関連>

 まず入り口に近い所に、次世代エネルギーの最新水素関連技術を集め、トヨタの燃料電池車MIRAIがあり、三菱化工機の水素製造装置、日立グループ、日立オートモティブシステムズ(株)の水素ディスペンサー、東芝の水素エネルギー供給システム、日本エア・リキード(株)の水素ステーション等の、ブースが配置されていた。昭和電工は、使用済みプラスティックから、水素を取り出す技術を展示していた。  
  太陽光発電、バイオマス発電のブースも数件あった。 クレハグループの(株)クレハ環境は、木質バイオマス発電に関し、川崎市との連携でマレーシアペナン州との協業をスタートしている。  大手エネルギー会社、東燃ゼネラル、東京ガスは、次世代を見据えた省エネ、環境保全等の技術を総合展示していた。

<食、水、廃棄物>  

 “食”の代表は、川崎市に大きな事業所のある味の素。多くの説明員を配し、環境CSR、環境活動に対する意気込みが感じられた。得意技術のアミノ酸の力を活かした、豚の飼料のビジネスは、“畜産における環境負荷低減”での世界貢献を目指している。  
 "水"で興味深いのは、川崎市上下水道局が、水関連の企業と各種団体で「かわさき水ネットワーク」というプラットフォームをつくり、アジア地域を中心に、水ビジネスの実現を通じた水環境の改善の活動をしていたことだ。  
"廃棄物"に関しては、JFE<5411>グループのJFEエンジニアリング(株)、JFE環境(株)が、廃棄物焼却、廃棄物リサイクル等の総合的な展示を行っていた。また、使用済みPETボトルを、化学的に分解・精製して、バージンPET樹脂同等の樹脂を再生するベンチャーのペットリファインテクノロジー(株)も興味深かった。

<世界の環境活動と産学官連携・国際連携>


 世界の環境にかんする講演も、いくつか行われた。
COP21に関し、足立芳寛氏(東京工科大学教授)と末吉竹二郎氏(国連環境計画金融イニシャティブUNEPFI)から、グローバルな視点で、また、「世界の構造転換と環境産業」と題し、寺島実郎氏(日本総合研究所理事長)の講演があった。

 私は、寺島氏の講演のみしか聞くことが出来なかったが、
「世界認識」「エネルギー地政学」「地球環境税」等の視点からの講演内容に今後われわれには、何ができるのか考えさせられることが多かった。
 展示ブースの産学官連携では、川崎市の環境総合研究所等の関連機関や川崎商工会議所、および慶應大学、国際大学、神奈川工科大学等の大学もその連携を目的として参加していた。

 また、国際連携では、JETRO, JICA, AICA (アジア国際協力連携機構)等の団体、JBIC(国際協力銀行)が展示ブースを開いていた。

 アジア各国からは、環境技術の会社や銀行も参加し、具体的な連携活動もいくつか紹介されていた。

<連携事業・連携活動の例>

  • 川崎市環境総合研究所、ペナン市(マレーシア)と(株)クレハ環境の3者による木質バイオマス発電に関するプロジェクト
  • 川崎市(上下水道局とかわさき水ビジネスネットワーク)とバリアブンタウ省(ベトナム)の水質改善プロジェクト
  • 川崎市とバンドン市(インドネシア)の低酸素で持続可能な都市形成に向けた連携
  • 川崎市と上海市環境保護局(中国)で進めている各種環境キャンページ
  • 川崎市とパトンタニ県(タイ)で進めているKPIP(川崎・パトンタニ工業団地)
  • 川崎市と国連環境計画の研究所(UNEP-IETC)が連携したエコビジネスフォーラム、エコタウンプロジェクト等の活動。

 < 川崎国際環境技術展2016での驚き >

(1) 1自治体である川崎市が、ここまで、組織だった国際環境展を継続して開いていて、その環境技術と環境保全経験を活かした産学官連携と国際連携が、地球環境問題を改善する国際貢献につながってきていること。
(2) この展示会に出展された企業の中でも、味の素<2802>に代表されるように、環境CSRに関して、世界の全事業所にまで、その理念・方針が徹底し、実際の活動に展開している素晴らしい会社が日本にはあるということ。
 川崎市が表題に上げている「世界をリードする川崎のポテンシャル」を実感したワクワクする一日だった。

2016/02/19

【環境CSR】 に真剣にチャレンジする会社は!

PM2.5, COP21と昨年来、話題の多い種々の地球環境問題に対し、企業はどう貢献していくのか? 上場企業は、CSR部門に力をいれて、環境省や証券会社のガイダンスに従って、環境にかんするCSRレポートを作成しているが、
「経営者が自社の事業に直結した環境CSR明解な活動の方向性を示し、全社を上げてそのチャレンジを行っている会社がどれほどあるだろうか?」
企業の成長性の一つの指標として、このテーマの重要性が増してきていると思う。

 この点に関し、経営者が、「環境?それで、どれだけ収益に繋がるのか?」と思うか、
「我が社の得意なこのテーマにチャレンジして世界の環境課題に貢献しよう」と指示するか、そこが最大のポイントになる。
昨年、国連環境計画(UNEP)を支援する一般社団法人日本UNEP協会が設立され、真剣にアジアの環境課題に取組む会社とその事業企画を募っているが、早速、トヨタ、東レ、日東電工, T&Dホールディングス, 杉田エース等、環境に対する取り組みに積極的な上場会社がいち早く手を上げた。

日本UNEP協会会員企業 : http://www.j-unep.jp/members_list/

 各社の製品、業務工程は、必ず、何らかの形で、世界環境に悪影響を与え、文明社会全体としては、地球を破壊する道を進んでいる。それに対し「サステイナブル」という言葉が頻繁に使われるようになった。 ただ、IR/CSRレポートで使われている「サステイナブル」という言葉は、環境に関しては10年30年100年後に向けて、真剣に考えていない経営者が使うと、抽象的で空虚な言葉に聞こえてしまう。

 日本UNEP協会は、ユニセフのように募金を求めることはしないし、ただただ会員企業を増やすことはしない方針を掲げている。 国連の使命である国を超えた(特にアジアに向けて)環境活動を真剣に提唱する企業を支援し、具体的な協賛活動に注力しようとしている。

 環境のテーマは、広範囲に渡るので、どの業界でもアジアのグローバルビジネスを目指す企業にとって関連性がある。 企業経営のビジネス展開・長期計画の一つのコネクションとして、日本UNEP協会、国連環境計画との連携を視野に入れることを検討してみてはいかがでしょう。

2016/02/16

【環境CSR】 に真剣にチャレンジする会社は!」

環境CSR に真剣にチャレンジする会社は!

  PM2.5, COP21と昨年来、話題の多い種々の地球環境問題に対し、企業はどう貢献していくのか?

2016/02/03

【水と食の安全、研究者セミナー】”Metrology Arena 2016 in Bangkokに参加して

1月18日-19日バンコクで、2nd Metrology Arena (MAT2016) セミナーが開催された。

  経産省傘下の産総研 (AIST)の計量標準総合センター (NMIJ)が主催し、タイの科学技術省傘下の研究部門 (NIMT, TISTR,  DSS)が協賛し、”食の安全、水の安全のための品質インフラにおける計量標準”をテーマにアジアの計量研究者が集う盛大なイベントであった。 私は、2日目のセッションで、タイの製造業の実情・経験を話す1講師・パネラーとして、参加させていただいた。

 初日は、タイの科学技術省のDr.Pichet大臣を迎え、スピーチ・メンバー紹介・記念撮影があった。 タイの政府・産業界からも、日タイの研究部門の連携に大きな期待が寄せられていることが実感させられた。
 既に、2014年に「Metrology Hub in Asean」と題して、初回のMetrology Arenaが開催されており、Aseanの経済統合 (AEC)を先取りする形での、日タイを基点にした研究レベルのアジア連携が展開されている。
 国内に閉じこもりがちな日本の政府機関において、産総研の戦略室が、いち早く、重要なテーマであるアジアの食の安全と水の安全の計量標準に取り組んでいることに感心させられた。集まったアジアの研究者の純粋で真剣な取り組みが、世界の中でも重要な地域であるASEANの将来の生活改善に貢献することが期待できそうだ。
 具体的に、 「冷凍魚類の輸出入規制」等のテーマもプレゼンされた。人口増加の加速するアジアの諸国が、将来にわたり“安全な食と安全な水の供給不足を解消する” ためには、環境問題も含め多くの課題が山積している。
  産業界でも、アジアの食・水の産業界で活躍するタイのCPF (Charoen Pokphand Foods)等の大企業が国を超えてグローバルな事業を推進している。日本とアジア各国の大学でも、連携の努力を加速している。今後、日本とタイ、日本とASEANのさらなる連携により、日本の産学官の強みを発揮することが、求められている。

講演・展示した企業
  • 堀場製作所
  • 島津製作所
  • レクサー・リサーチ
  • 成宗製作所
  • 光触媒研究所
  • JI Solution
写真(1) 科学技術省のPichet大臣(中央)と日タイの国家研究機関の責任者(前の4人) との共同撮影


 写真(2) セミナーの様子


   写真(3) JI Solutionブースと関係者

写真(4) 私のプレゼンの最後のページ  (Expectation to Asian Researchers)