2017/02/21

【働き方改革】シニア人材を生かす会社は?

 高齢者の雇用延長が増えた昨今、人事施策に新風が必要である。経団連は、昨年「ホワイトカラー高齢社員の活躍をめぐる取組み」についてまとめた。その中で出てくる新しい取組みのキーワードは、「働き方の多様性」と「意識改革・風土醸成」である。



  • 高島屋<8233> は、2001年に再雇用制度をスタートさせたが、その後複数のコースを設定しその再雇用コースの内容を試行錯誤しながら変えてきた。50歳から経験してきた仕事内容も考慮して、専門性の高いシニアをフルタイムで再雇用し「キャリアコース」とする。その中でも、スーパーセールスコースとか、マスターコース、レギュラーコース等の多様な働き方を提供する。また、「キャリアコース」とは別に、専門性というよりも幅広い経験のあるシニアには「サポートコース」という形で、ワークシェアの働き方や、短時間でもいろいろな企業運営のサポートができる働き方も考慮している。
  • 明治安田生命保険は、ダイバーシティマネージメントを強化してきたが、人事施策の4つのダイバーシティとは、女性、身障者、外国人、それと高齢者だ。65歳までは、全員に就業機会を与え、その制度を2013年に「エルダースタッフ制度」と名付けた。シニアの働き方ニーズに対応した数種類の多様な雇用形態を導入している。
  • 富士通<6702>は、昨年、一度退職した社員の「カムバック制度」を導入して話題になった。家庭の理由による退職はもちろん、転職組のカムバックも歓迎する。一度自社の経験を積んだ社員は、カムバックすれば即戦力になるからだ。これも多様な働き方を推進する一案だ。
  • ANAホールディング<9202>は、トップダウンで、「ダイバーシティ&インクルージョン宣言」を行った。このダイバーシティになかに当然シニア再雇用制度も入っている。少日数や時短も含めた部分就労の働き方も推進している。
  • ハードオフ<2674>は、他社を退職したシニア人材の再雇用に積極的だ。リユース商品を扱うハードオフでは、例えば、家電会社を退職した専門家がオーディオ商品の中古品買取の目利きやお客様への説明等でその専門性を生かせる仕事を提供できる。また、全国チェーン展開しているので、店舗の近くに住むシニアを融通の利く働き方で有効に雇用することができるメリットもある。 

 上記では、取り上げていないが、海外経験の豊富なシニアをどう生かすか、がもう一つの大きな人事多様性のテーマである。退職後を狙って、海外進出支援の人材会社やコンサルティング会社がその貴重な人材の再就職や顧問契約のビジネスを推し進めている。 また、JICAのシニアボランティアでも海外経験豊富な有能な人材が活躍している。
 ただ、雇用延長時代にグローバル企業がグループ内で、現地採用とかプロジェクト契約のような形も含めた多様な働き方で海外経験豊富なシニアを生かす人事施策を提唱する企業があっても良いのではないか。 タイの場合は特に何歳になっても給料が安くても現地で働きたいというシニアが多い。そんな人材を生かすことがグローバル化の時代に日本企業を強くするための重要な視点だと思う。海外の実情を知らない日本の人事も、その重要性を認識して欲しい。

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