2017/03/26

「エネルギーサービスの時代」


 ビジネスのグローバル化、IT化、環境への対応の深刻さ、大災害等諸々の背景で大きな影響を受けているエネルギー関連ビジネスは変革の只中にある。 省エネとか電力自由化とか脱原発とかいろいろな言葉や視点でその影響を見ることができるが、ユーザー視点、ニーズ視点から考え、「エネルギーサービス」という言葉が一つのキーワードになりつつある。

 最近のニュースとトピックスから
l   3月、東電<9501>と中電<9502>の国内火力発電の統合計画が発表された。
l   3月、中国とオースオラリアの両政府が、エネルギーでの貿易拡大に合意した。
l   3月、「一帯一路」構想を推進する中国は、サウジアラビアとエネルギーや宇宙開発分野などで約7兆円を超えるプロジェクトの協定を結んだ。
l   3月、タイのエネルギー省は、工業団地開発大手アマタ・コーポレーション(AMATA)と省エネルギーなどを目指す「スマートシティ開発」に関する覚書を締結した。横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)を参考にする。
 
 「エネルギーサービス」の観点から時代の変化を先取りしようとする革新的な企業のアプローチをあげてみる。

(1) 一次エネルギー調達とバリューチェーン
JERA<未上場>という会社が注目されている。2015年に設立された東電<9501>と中電<9502>の出資会社で、双方の発電所へのグローバルな燃料調達から始め、発電まで、より効果的なバリューチェーンの構築を目指す。タイでは、現地パートナーとのコ・ジェネレーション設備が201612月に商業運転を開始した。
(2) ライフスタイルと「もったいない」意識を醸成するサービス
東芝<6502>は、20174月からネガワットアグリゲーター事業を開始する。ネガワットアグリゲーター事業とは、削減した電気の需要量(ネガワット)を取り引きし、電力需要の削減を推進する事業だ。
(3) ESCO (Energy Service Company)事業
2月、楽天<4755>は小売電気事業者としての登録を完了した。
日立<6501>は、電気と蒸気のコ・ジェネレーション設備を導入するESCO事業を推進する。
(4) 再生可能エネルギーの活用
    東北の震災以来、太陽光や風力の再生可能エネルギーの比率は、確実に増えている。
再生エネルギーが占める割合が日本全国でも平均で20%(kWh)を超えた月もある。その中でも特に力を入れているのが九州電力<9508>、安定供給のための出力制御にも取り組み、その割合が60%を超えた日もある。

(5) 次世代エネルギー技術(水素・人工光合成)へ向けての産学官連携
大学を中心とした次世代エネルギーの取り組みも日本の強みだ。
2015年、東京工業大学を中心に「グローバル水素エネルギーコンソーシアム(GHEC)」が設立され、関連企業が参画している。千代田化工<6366>、岩谷産業<8088>、東芝<6502>は、電力に変わる二次エネルギー水素備蓄に力を入れ、将来の水素社会への貢献を目指している。
人工光合成技術では、化学エネルギーを生成しエネルギー備蓄が容易になる。 東大、大阪市立大、東工大などの大学や、トヨタ<7203>、パナソニック<6752>、東芝<6502>等での変換効率10%を目指す研究等の成果が注目されている。

 「エネルギーサービス」に繋がっていくこれらの技術と産学官連携は、日本の強みである。将来、エネルギー調達、省エネ、エネルギー効率アップ、グリーンエネルギーの推進を通じて、アジアの環境保全を日本がリードしていく時代になってほしい。

0 件のコメント:

コメントを投稿