2016/12/02

【環境】に関する産官アジア連携

 アジアの新興国・中進国各国が、大気・水質・土壌の汚染をはじめとする環境課題に苦しみ、地球の環境を破壊してしまう危機を先進国と共通認識し、パリ協定に同調すると同時に国際協力の推進に動き出している。


 アジア各国の環境の専門家は、製造業の現場技術・現場人材と同様に、環境に関する日本の環境技術・環境人材の卓越性をよく理解している。
 この環境分野は、日本がアジア各国をリードできる産業テーマであり、長期的に日本の最も重要な産業の一つだと思われる。

 最近のニュースとして、経産省や環境省、自治体のアジアの国々との環境に関する国際連携の動きと呼応する企業を取り上げてみる。
(1)  経産省: 1126-27日世耕経産大臣は、第10回日中省エネルギー・環境総合フォーラムに出席した。 このフォーラムに、800名を超える官民関係者が参加した。
フォーラムでは、6つの領域の分科会(スマートシティ、省エネサービス、循環経済、新エネルギー車、クリーンコール、水処理)に分かれ、28の協力プロジェクトが議論された。
代表的なテーマと企業例をあげると、グリーンICT・スマート製造で日立、大気汚染観測・電気集塵機の富士電機、リチウム電池のパナソニック、農畜産廃棄物処理・洗煙技術の日立造船、排水省エネモデルの堀場製作所、水質測定のオプテックス等々である。

(2) 環境省:  環境省は、128日に「タイの化学物質管理政策最新動向セミナー」を国連大学にて開催する。2015年までPRTRPollutant Release and Transfer Registerパイロットプロジェクトを実施してきたタイ天然資源環境省と化学物質管理の最新動向を共有する。 これは、国際的な化学物質対策についての国内関係者の理解と対処能力の向上と、諸外国の関係者との相互理解の向上による国際調和に向けた取組の加速化を目的とした「化学物質国際対応ネットワーク」の活動の一環である。化学物質国際対応ネットワーク」には、289の企業、団体等が加入し、旭化成、花王、日産、三井化学、住友化学、長瀬産業、富士通、コクヨ等が幹事会社を務める。

(3) 自治体(横浜市・川崎市・北九州市)
 横浜市は、20154国際局国際協力部を創設し、「横浜の資源・技術を活用した公民連携による国際技術協力(Y-PORT事業)」に取り組んでいる。その一環として1118, 第5回アジア・スマートシティ会議が横浜で開催された。
 環境に関する都市間協力を推し進め、タイ、インドネシア、ベトナム、フィリピンの都市を横浜の企業(日揮、JFE、千代田化工、日立製作所等)と共に連携支援している。
 川崎市は、毎年2月に川崎環境国際技術展を開催している。来年も2月17-18「川崎からはじまるグリーンイノベーション 一歩先へ、もっと先へ」のコンセプトで開催する。川崎市内には、JFE、味の素、東芝川崎重工等、最先端の環境技術を持つ多くの企業が集まっているが、国際イベントとして大手だけでなく中小企業の環境ビジネスマッチングを推進している。
 北九州市は、世界の環境首都を目指す。1012日中国の大気汚染改善をテーマにした国際会議を開き、中国環境保護省の「日中友好環境保全センター」と、環境保護の分野で連携する覚書を締結した。また、スマートコミュニティ創造協議会には、新日鐵住金、日本アイ・ビー・エム、富士電機、 安川電機等の企業が参画している。 アジア低炭素化センターでは、産学官連携してアジアの都市を支援している。中小企業の環境技術を活用し、中国上海市で土壌汚染のオンサイト分析の支援や、タイの現地企業と連携して省エネ連携事業を支援している。

 今後も、COPやパリ協定と連動して、環境に関する産官国際連携が、より具体的な形で推進されていくだろう。

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