2017/12/05

「ESG投資はアジアの環境ビジネスに追い風か?」

 NHKが、先日「2500兆円超え!?世界で急拡大“ESG投資”とは」と題してクローズアップ現代+でESG投資を取り上げた。 ESGEに注目して“環境金融”という言葉も氾濫し始めている。


証券業界を中心に、この動きをあくまでも会社の評価として使おうとする。CSRや環境レポートのすぐれた会社とアジアの環境問題を解決できる会社は必ずしも同じではない。 ESG投資の動きが、アジアの環境ビジネスに本当に追い風になり結果を出せるのか (環境問題を解決できる方向に投資されるのか)甚だ疑問である。超え!?世界で急拡大“ESG投資”とは 
 ESGランキングで取り上げられている会社とアジアの環境問題に立ち向かう会社の例を挙げてその違いを見てみよう。

< ESG
ランキングを話題の会社 >
     富士フイルム<4901>: 重点課題として2000万トンのCO2削減、水汚染の軽減、環境負荷の少ないエネルギー創出への寄与の3つを挙げている。 地球環境に関し、社外で製品として貢献できるものとしては、太陽電池用、およびガス分離の部材を取り上げている。
     アサヒグループ<5857>: 環境重点テーマとして商品のライフサイクルにおける配慮、廃棄物の再資源化、森林活動をあげている。
     リコー<7752>: 環境行動計画の中で製造ステージのCO2削減、排出物削減、森林生態系保全活動等に力を入れている。

< 将来のアジアの環境/エネルギー問題に立ち向かう会社 >
     ソフトバンク<9984>: 地球環境に大きく影響を与えるアジアのエネルギー需給にフォーカスし、アジアスーパーグリッド構想を掲げ、再生可能エネルギービジネスに投資する行動計画をたてた。その第一歩として、10月にモンゴルで地元財閥と共に50MWの風力発電システムをカットオフした。
     トヨタ<7203>: トヨタは、1992年に“トヨタの森計画“を策定した。最初から海外の工場を視野に入れ、アジアの工場もそこを起点として森林の再生に貢献し、それに加えて「トヨタ・エコユース」の取り組みも行っている。インドネシアにおいては約26万人の学生と教員に、環境活動に取組む機会を提供している。
     千代田化工<6366>, 川崎重工<7012>, 岩谷産業<8088>: 長期的な視野でグローバル水素社会のメインプレーヤーを目指し、地球環境・エネルギー分野のイノベーションに邁進している。

地球環境の視点では、E(環境)SG, CSRを一緒に取り扱うところからすでに間違っている。
  CSR企業ランキング、ESG企業ランキングに載っている企業は、確かに社内のCO2を削減し、廃棄物の再資源化等に努力をしているかもしれない。 しかし、2040年の地球環境・エネルギー問題を考えてみると、地球環境に対する日本国内での活動の寄与度は微々たるもので、エネルギー需要40%増をもたらす支配的な国、中国やインド等のアジアの国々で手を打たない限りサステイナブルな地球の道筋は全く見えない。
 近年、中国とはビジネスをやりたくないという視野の狭い経営者が多いことが残念だ。


 地球環境の保全のために日本企業の本当の役割はなんだろう。 社内でのCO2の削減や廃棄物の再資源化は、当然なすべきこと、それに加えて、会社のビジネスとして事業投資対象として、アジアの環境問題解決に、それぞれの会社の強みを生かして、どう寄与するかの本質を見極め、人口の多い中国・インド・東アジアの新たな環境・エネルギービジネスを牽引してほしい。 その領域は、日本の高度人材と高度技術をいかせる領域であることは間違いないし、そのことが、長期的には、日本の経済の活性化につながるだろう。 金融業界は、CSR, ESGランキングの高い会社ではなく、“将来のアジアの環境/エネルギー問題に立ち向かおうとしている会社”を支援してほしい。

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